27前ページ 次ページ



写真

伝言
日誌

自伝

LINK

メール
























 私の浪人時代2(5) TOP
since 2000.9




  予備校の授業は午前中だけ出て、アパートに帰る。昼食を食べて時間があ 
 れば昼寝して勤務先に行った。自転車で10分ほどの距離であった。夕食は 
 定時制の給食を食べたから、家で妻の作った食事をするのは休日を除いては 
 昼間だけである。 
  
  その後私は12年間この定時制高校に勤務して、その後現在の勤務校に異 
 動したがやはり3年間給食を食べて過ごした。結婚後15年間夜は勤務先の 
 食堂で食事をしたことになる。この食生活が特に不満でなかったのは、この 
 シリーズで前述したように母親が寝たきりだったので、そこら辺にあるもの 
 を食べて過ごして育ったからで、食事とはそういうものだと思っていたので 
 ある。アルコールに弱い体質で、晩酌など思いもつかなかった。 
  
  定時制の授業は9時に終わった。それから1時間ほどクラブの面倒や雑用 
 をして、10時過ぎに帰宅する。そして予備校の予習を済ませ12時頃には 
 寝ていた。結婚前は「どうぞご自由に」と妻は思っていたようだったが、さ 
 すがにここまでほって置かれるとは予想外だったようで、少しモメた。 
  
  予備校生活も慣れてきた、たしか6月頃のことであった。私がいつものよ 
 うに予備校から帰ってくると妻がいなかった。特に書き置きもなくちょっと 
 買い物にでも行ったのか、と思って少し待ってみたがなかなか帰って来ない。 
  
  仕方なく目玉焼きを作って冷や飯に乗せて食べた。空腹だとイラだってく 
 るのでまずそれをおさめた。それから、一体どうしたのかと心配で不安であ 
 った。勤務に出る少し前に妻は帰ってきた。無言であった。どこへ行ってき 
 たか聞くと、パチンコに行って来た、と不満そうに答えた。私はすぐにカッ 
 と来て「リコンする」と言った。 
  
  AB型は瞬間湯沸かし器だというのが血液型占いの診断である。妻も直ち 
 に反応した。一人で家にいるのはつまらない、というのである。私は面倒に 
 なって、行ってくる、と言って勤めに出た。 
  
  私は女性とつきあったことがなかったので、結婚はしたものの、自分の仕 
 事と受験で頭がいっぱいで、妻が何を考えているのか、思いやる余裕がなか 
 った。今考えて見れば、無給のお手伝いさんを雇ったような気でいたのであ 
 った。 
  
  どうもそういうわけにはいかないようだ、と仕事先で考えた。それにして 
 も「リコン」とは言葉がまずかった、と思ってみたが、当然、自分から謝る 
 わけにはいかない。そもそも専業主婦にして、夫が帰ってくるのに、昼食を 
 用意もせずにパチンコに遊びに行くとは何事だ、とかどこかに書いてあるよ 
 うなことも思いつくのだったが、そういう事態でもなさそうなのはすぐわか 
 る。 
  
  何しろ「リコン」と口走ったのである。私は内心の動揺がさとられないよ 
 うに、平然を装って帰宅した。        
  
 97.12.5. 
  
  
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 
 初出:1997.12  F34クラス通信 
…………………………………………………………………………………………… 
 あとがき:「ほんとに延命処置しなくていいからね」と妻が言った。炬燵に 
 入ってバガボンドを読みながら。寝たきりになったらどうするか、という話 
 題の続きである。妻の父親は7年前に多発性脳梗塞を起こし、2年ばかり老 
 人病院をたらい回しになった後で亡くなった。その時私は、生きている人に 
 あまり負担をかけてもなあ、と思った。「もう充分楽しかったからいいや」 
 と妻は続けた。この浪人時代2から20年たっている。 
  
─────────────────────────────────── 
 自伝シリーズ NO.27  私の浪人時代2(5)       2001.3.3 発行 
…………………………………………………………………………………………… 
 発行者:ぱーこ pahko-s@parkcity.ne.jp 
 発行所:ぱーこシティ http://www.parkcity.ne.jp/~pahko-s/ 
     ぱーこシティにバックナンバーがあります。伝言日誌毎日更新中。 
 このメールマガジンは、 
 インターネットの本屋さん『まぐまぐ』 を利用して発行しています。 
 http://www.mag2.com/ (マガジンID: 0000042938) 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━